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しィ―――……………
「ソフト」……… & 「ウェット」


#004 soft & wet





●先月は「岸辺露伴 グッチへ行く」が読めたとは言え、「ジョジョリオン」は休載。2ヶ月もの間、辛抱する事となりましたが、ようやく待望の連載再開です!
嬉しい事に、「ジョジョリオン」が今月号の表紙を彩ってくれました。セーラー服姿の吉良くんが、何やら遠くに目を凝らしているような絵。空気イスっぽい体勢がキツそうですけど、当の吉良くんは涼しげな表情なので、スタイリッシュなポージングとしてビシッと決まっています。彼の背後には、例のロボットみたいなスタンドも見えます。棒切れみたいな腕してて、想像してたよりもゲッソリしてそうですね〜。
特筆すべきは、そのカラーリングでしょうか。これまでのようなブラウン基調ではなく、ガラッと一新、ホワイト&ブルー。より船乗りや水兵を思わせる、爽やかな色使いです。そして、彼のサイドには横断歩道の交通標識信号機も描かれております。横断歩道の標識も白と青でデザインされていますし、信号も青信号になっています。そう、まさにこのイラストは全てがホワイト&ブルーで統一されているのです。前回、吉良くんにドス黒い変態疑惑が浮上しちゃったワケですが、それを真っ向から否定してくれるかの如き、清らかなるカラーリング。
吉良くんが杜王町の安全を守ってくれている。町の平和を乱す邪悪がどこから現れるか、常に見張ってくれている。町の人々の幸せのために、戦ってくれている。そんなイメージの絵に見えてきます。仗助に次ぐ、新たな杜王町のヒーローの活躍!決して見逃してはなりませんッ!


トビラ絵もまた、吉良くんオンリー。町を駆ける吉良くんって感じの絵です。カッコイイぜ!今は状況が状況なだけに室内の描写が多いけど、きっと近いうちに杜王町狭しとあちこちを駆け回ってくれる事でしょう。
さて、いよいよ本編です。吉良くんのマンションを飛び出して行った康穂。偶然にも、外で友達の女の子2人組とバッタリ。大学の友人かな?この女の子同士の何気ない日常の会話が、なんとも微笑ましい。
能書きがやたらに長いメニューのデザート屋さんとやらがあるらしく、一緒に行かないかとお誘いを受けます。「山形県天童市の菅原さんが愛情たっぷりの放し飼いニワトリのフンを使った有機栽培で育てた完熟さくらんぼをふんだんに使った星空の下での初キスの味チェリーパイ580円 そして幸せが訪れる」とか、「岩手県盛岡市の吉村さんの牧場の太陽をいっぱいに浴びた牧草をたっぷり食べて育ったジャージー牛のミルクで作った甘くてほろ苦い青春のひとかけらクリーム・ブリュレ580円 そして幸せが訪れる」とか、そんなメニューだらけみたい(笑)。ここまで凝ったネーミングだと、もはや何が主語で、どんなデザートなのかも分からないぞ。でも、これも荒木先生なりの東北応援の一環なんでしょうね。ホントにあるなら、ぜひ食ってみたい。
メニューの「そして幸せが訪れる」ってフレーズがツボなのか、彼女達は楽しげに笑いながら写メってます。「そして時は動き出す」のスイーツ版的な?ただ、普段の康穂なら2つ返事で誘いに乗るところなのかもしれませんが、今の彼女はとてもそんな気分ではないようで……。「おうちに帰る」と、誘いを断ります。2人組は「メール(←絵文字)するねェーっ」と、手を振って去って行くのでした。ノリ軽いなあ〜〜(笑)。


●友達と別れ、1人に戻った康穂。後ろを振り返り、吉良くんのマンションを一瞥します。すると、いろんな感情がゴチャ混ぜになったのか、大泣きしちゃいました。しかし、行き場のない感情を涙にして流しまくったおかげで、冷静さも取り戻してきた様子。……いくら記憶がないと言っても、本当に吉良くんはあんな変態で冷酷な事を楽しめるような人間なのか?彼はそんなキャラじゃない気がする。でも、人の本性なんて誰にも分からない。どうやって見分ければいいんだろう?
そして、ふと、そもそもの前提が間違っているのではないかという可能性に思い至ります。彼が「吉良吉影」だと疑いもせずに決め付けていたけど、もしそうじゃなかったとしたら……?204号室に最初から住んでいる人じゃなかったとしたら、「吉良吉影」が他にいるとしたら……、彼はどうなってしまうのか?康穂の胸に、不吉な予感が過ぎるのでした。
う〜ん、やっぱ康穂はカワイイっスね。性格もいいし、頭もいい。身近にいそうな、そして、身近にいてほしいタイプの荒木ガールってのは実に稀有ですよ(笑)。


●場面は変わり、204号室内の吉良くんへ!傷付いた左手と左足に、それぞれ謎のマークが刻まれました。理解できぬままにタオルで拭こうとすると、裸の女性に制止されます。よく見れば、タオルには無数の針が突き刺さっており、こんなので体を拭こうもんなら血まみれは必至。スリッパの画鋲といい、やはりこの部屋は出血させるためのトラップだらけなのです。
女性がさらに話す事によると……、どうやらこの能力、自分の「真上」に立たれると操られてしまうらしい。なるほど。まさに操り人形な能力なんですね。人形師(=敵本体)と人形(=吉良くん達)を結ぶ糸は、敵本体の「真下」に垂れ下がっているのみ。この有力情報が得られれば、戦局も大きく変わるはず。しかし、これまで数多くのスタンドを見てきた我々読者は良いとして、吉良くん本人は理解できるワケもなく大混乱です。
唐突に、女性は再び風呂に入ったかと思うと、そのまま全身余す所なくお湯に浸かってしまいました。もちろん、顔も頭も全部。彼女の意思ではありません。敵の能力に操られているのです。そんな危機的状況なのに、吉良くんは「君、ずいぶん変わったお風呂の入り方するんだなあ」とのんきこきまくり。「寝る時に圧迫されるのは好きだけど、お湯の下とかはゴメンだなあ」とか、どーでもいいトークをおっ始めてる有様です。彼女が苦しそうに助けを求めてるのを見て、ようやく溺れかけてる事に気付きましたよ。コイツ、天然すぎる(笑)。
慌てて彼女を持ち上げようとするも、能力下に置かれているため、ビクともしません。逆に、吉良くんの左手足が操られ始める始末。やっとこ状況を飲み込めてきたようで、彼女を動かせないならと、お風呂の栓を抜いて救出に成功!九死に一生を得た彼女、「早くここから逃げて!あたしを助けて!」と訴えます。彼女は東京に住んでいた人らしく、杜王町を旅行中に拉致されてしまったとの事。もう何日経ったかも分からない程の長い時間、この部屋と能力に囚われていたのでした。吉良くんも元々は杜王町の住人ではない?


●彼女を救うためにお風呂の栓を抜いたワケですが、なんと栓のチェーンにも細工がッ!チェーンが尖って凶器と化しており、吉良くんは右手からも出血!残るは右足だけ。この敵本体はどうやら、3日前に吉良くんが逃亡した事に対し怒っているようで、吉良くんを殺す気満々っぽい。吉良くんが戻って来るのを待ち伏せしていた?……だとすると、彼が女性を見捨てない性格という事を承知しており、記憶喪失はまったくの想定外の出来事って事になりそうですね。3日前の全貌は、いつ明らかにされるのでしょうか?
吉良くんはこの異常な状況を1つずつでも整理しようと、女性にまず自分の名前を訊ねます。ところが、彼女からは「知らない」との答え。長期間、ずっと一緒にいただろうに、お互いの名前さえ知らないとは。敵本体が彼らを脅して、自分の個人情報を秘密にさせていたのでしょうか?敵本体についての情報を聞き出そうにも、またもや彼女が操られます。今度はカミソリで自分の舌を切り取ろうとし、吉良くんが必死で止めるハメに。どうにか彼女の手からカミソリを奪い取ったものの、これこそが本体の狙いだったのです。彼女は所詮、ただの餌。吉良くんの両手両足「4点」を取るための餌。吉良くんはまんまと手を操られ、カミソリ攻撃を喰らいます。右足で自分の手を踏み付けても、「3点」を支配されている以上、やられるのは時間の問題。
しかし……、です!恐らく、3日前の吉良くんに無くて、今の吉良くんにあるものがたった1つ。それが、この状況を打破する鍵ッ!それは、スタンド能力ッ!!


●万事休すなヤバイ瞬間、吉良くんの星のアザから「泡」が出現!それが壁に当たって弾けると、そこから人型のヴィジョンを持ったスタンドが発現したのでした!つ、ついに出たァァア―――ッ!胸に大きく刻まれた錨のデザインが目を引きますね。全体的にヒョロっとしてて、不思議な体格です。ただ、頭のてっぺんや肩には星のマークが配置されており、なんとなくジョニィの『ACT4』に似てるかも。下半身なんかは、「両眼部」の守護精霊であるターボくんにも近い印象。ジョニィとの血の繋がりはまだ不明ですが、「SBR」からの連続性を感じられました。
吉良くんのスタンドの名は、たぶん『ソフト&ウェット』。荒木先生がこよなく愛するプリンスの曲名が元ネタっぽい。その能力は、「しゃぼん玉」が触れて割れた時、そこから「何か」を奪う能力!単純に、常秀からは「視覚」を、婦警さんからは「水分」を奪ったって事か。正直言って、「奪う能力」なんてアバウトすぎてどうかな〜って気もしますし、「しゃぼん玉」と「奪う」の関連性がよく分からないけど、その応用っぷりを期待しておきます。
とにかく、この『ソフト&ウェット』、壁から「音」を奪ってみせました。この壁に何をしようと、誰にも何も聞こえません。そして、スタンドの鋭い後ろ回し蹴りで、壁は一撃粉砕ッ!貧弱そうな見た目に反して、かなりの攻撃力を持ってますねえ。無論、「音」を奪った壁は、砕けても無音。上階の敵本体からすれば、音も無く、吉良くんがいきなりどっかに消えてしまったようなもの。吉良くんの居場所が分からず、慌ててウロウロする本体。能力の呪縛から辛うじて逃れた吉良くんは、上階の304号室を目指し、本体を直接叩く事に決めました。
恐らく、本体はドアの地点で待ち伏せているはず。外に逃げようとするなら、必ずドアを通る。居場所を見失っても、必ず通る場所に先回りすれば良いだけの事。……敵の思考を読んだ上で、吉良くんはあえてベランダへ走るッ!果たして思惑通り、ベランダから外に脱出できるのか!?


★今月は47ページ!なかなかのボリュームで楽しめました。未だに姿を見せない本体の不気味さ、「真上」を取られてはいけないという条件のシンプルさ、キャラ同士の掛け合いの面白さ、そして主人公の逆転のカタルシス。とうとうスタンドバトルも本格的に激化し、盛り上がってきましたね!謎だらけの現状で、1ヶ月の待機は辛いなあ。
あと、裸の女性もけっこう好きかも。前回はちょっと微妙な感じだったおっぱいも、今回はナイスな形でしたしね!特にお風呂の中に入って浮力を得たおっぱいは、柔らかそうでグッドでした。荒木先生も女性の裸体を描き慣れてきたのかな?彼女の名が実は「山岸」とか「虹村」とかで、ちゃっかりメイン・キャラとなっちゃっても良さげ。吉良くん・康穂・常秀を巻き込んで、まさかのラブコメ展開が来るか!?今回の描写を見ると、スタンドが見えてるんだか見えてないんだかって感じでもあったし、いろんな意味で気になる人物です。
作者コメントは「ジョジョの小説が出ます。よろしければ読んでください。おもしろいよ!」との事。「恥知らずのパープルヘイズ」、私も早く読みたいです。フーゴが何故か裏切り者呼ばわりされてるっぽいのが気になりますが、感想は読み終えてからじっくり書きたいと思います。



(追記)
●いやあ〜……、上階の敵について考えてるんですが、これは難題ですよ。なかなかしっくり来る予想が出来ない。でも、もうすぐウルジャンも次号が発売されますので、とにかく考えた分は書いておこうかなと思います。
まず整理すると、敵の能力は「真上」に立つ事が大前提。相手の「真上」に立っている状態で、相手が傷付けば、その傷が血の「印」となります。さらに、「印」の付いた者の「真上」に立てば、その相手を自由に操る事が出来るのです。それはあたかも、糸繰りのマリオネット。よくよく見れば、血の「印」も、穴に糸が通ったかのような形になっていますね。また、溺れる裸の女性を救い出そうとする吉良くんも操られていた事から、恐らく2人以上を同時に操作する事も不可能ではなさそう。そして、『ソフト&ウェット』で「音」を奪った事により、敵は吉良くんの行方を見失ってしまいました。つまり、敵は下階の様子を「音」のみで感知していた、という事。いざという時を警戒してなのか、監視カメラ的な物は仕掛けていないっぽいです。
前回、意味深に描かれ、非常に気になっていた上下の部屋のシンクロ現象は、「能力」というワケではないのかもしれません。上階の敵が下階の音を聴き取って、下階で起きた事を上階でも再現してみせているものと推測。上下の部屋の状況が同じであれば、どうやって「真上」に立つべきか、どのように操るべきか、色々と思案も実行もしやすくなるでしょうから。読み返してみると、下階から出た音が、数瞬遅れて、上階でも聞こえるという描写がほとんど。その逆は、爪のビンを落として割って、吉良くんが左手を傷付けた時のみでした。これは、下階の再現をしていたら、たまたま上階のビンの方が先に落っこちてしまっただけと考えられます。
じゃあ、そもそもどうやって上階から下階の音を聴いているんでしょう?超鼻のいい噴上裕也みたく、コイツもスタンドを身に付けたら、耳がめっさ良くなったんでしょうか?それとも、盗聴器でも仕掛けてる?……床に耳を当てて音を聴き分けながら、蜘蛛のようにズルズルと這いずり回っているって図であれば、キモくって個人的にはグッドかな。うまく相手の「真上」に立てたなら、感覚でその事が分かるのかもしれないし、能力によって繋がった下階の音がより鮮明に聴き取れるようになったりするのかもしれません。


●敵は一体、何者なのか?何が目的なのか?……あまりに回りくどくて面倒な能力と行動なので、これまた悩みどころです。何せ、下階に2人を監禁しているという事は、常に下階の様子を窺い、必要とあれば能力で操らなければならないって事ですから。増してや、操って変態行為を強制させているのは、恐らく直接見えもしない相手。自分自身にどんなメリットがあるというのか?
もしかすると、敵は何かしらの障害を負ってしまっているのかも。例えば、震災によって心身にダメージを受け、いわゆるインポテンツになっていたとしたら。震災以前は、どこかから若い女性を拉致・監禁し、束縛プレイで凌辱し、自らの変態的な性欲を満たしていました。そのドス黒い欲望を吐き出す術を失い、悶々とする日々を送っていたところ、「壁の目」によってスタンド能力が発現ッ!障害を治す事は出来ないものの、自分の思い通りに他人を操る事が出来るようになりました。やがて、精神の歪みや異常性も強くなり、敵は自分の後継者を育てようと思い立つのです。そんな危ないヤツと、偶然にも出会ってしまった吉良くん。インポテンツになった敵にとって、キンタマが4つもある吉良くんは、自分の意志と欲望を受け継いでもらうに申し分ない逸材だったに違いありません。こうして、吉良くんは女性と共に拉致・監禁され、変態プレイを直々に体験&伝授させられていたのです。
ただ、少なくとも吉良くんは、3日前に帽子を買いに外出していました。もし逃げ出した後であったら、のんきに帽子だけ買うとは思えません。助けを乞うなり何なりするはず。それがないって事は、帽子屋の時点ではまだ敵の言いなりだったって事。部屋に残る女性の方は、逃げられないように縛っとけばOKとして。問題は、外出中の吉良くんです。外にいる状態では、「真上」を取る事も出来ず、操るなんて不可能。逃げようと思えば、容易に逃げられるでしょう。どうすれば、吉良くんに逃げられずに済むのか?……まあ、単純に「逃げたら殺す。女の方も殺す。」なんて脅しつつ、後を尾けていたのかもしれません。
ところが、ここで誰にとっても予想外の事態が発生。なんと吉良くんは、突如、謎のスタンド能力に襲われてしまったのです。ワケも分からぬままに逃げまくって、気が付いたらそこは「壁の目」。そして、吉良くんにもスタンドが発現。激しいバトルの末、彼の服は切り裂かれ、全裸で地面に埋まってしまったのです。この時、記憶も失われました。しかし、敵はそんな事など露知らず、吉良くんがまんまと逃げやがったと誤解し、怒り心頭。彼が女性を救いに戻って来る事を期待し、部屋で待ち構えていたのでした。


●ドアは危険と判断し、ベランダからの脱出を目論む吉良くん。でも、果たしてそう簡単に行くのかな?あんなにトラップだらけの部屋なんだし、ベランダなんて絶好の設置ポイントじゃないですか。例えば、トリモチなんてセットしてようもんなら、ベッタベタにくっ付いて身動きが取れなくなっちゃいます。そうなったら、あっさり「真上」に立たれてしまうでしょう。それでなくとも、置いてきぼりの裸の女性やら、今にも戻って来そうな康穂やら、人質として狙われそうな人がいるのに。
頼れるのは、何でも奪ってしまう『ソフト&ウェット』。このスタンド、かなり無茶な能力っぽいけど、それも「しゃぼん玉」がちゃんと目標に当たればの話です。「しゃぼん玉」それ自体はほとんど操作できなそうだし、不安定でスピードもない。しかも、何か別の物を当てて割ってしまう事も出来るでしょう。いくら強い能力でも、避けられれば意味がありません。それに、「何か」を奪える時間も、ごく短い時間(十数秒〜数十秒程度?)だけと思われます。その辺のバランスは、スタンド能力の弱点駆け引きの材料として絶妙。どんなサスペンスを魅せてくれるのやら楽しみです。
つーか……、相手の「真上」に立つ事で操れる能力ならば、逆に考えると、操られている人の「真上」に敵がいるって事が明白。自分の位置を教えてくれているようなもの。あえて操られておいて、実はすでに「真上」に攻撃を仕掛けていたッ!……的な展開だったりするんでしょうか?
あ、そうそう。じっくり見たら、『ソフト&ウェット』の耳の部分も星型になってるんですね〜。立体的な星型。パッと見では気付けませんでした。




(2011年9月16日)
(2011年10月15日:追記)




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