「ジョジョリオン」の謎と考察・予想をまとめたよ
No.41 【 「明負 悟」と「透龍くん」は何者なのか？ 】
【第1版】 （旧版）
TG大学病院の院長として登場した明負 悟 （あけふ さとる）。彼は、同じ病院で医師として勤める下里 良（アーバン・ゲリラ）、プアー・トム、羽 伴毅の3人の「岩人間」と共に、「新ロカカカ」を追い求めています。その目的は、「新ロカカカ」のデータから「不死産業」を確立し、それによって人間社会を牛耳る事。定助にとっては、（現時点では）最大の敵。
そして、そんな明負院長とほぼ同時期に登場したのが透龍 （とおる） くん。彼はTG大学病院でバイトをしている医学生。なんと、高校時代の康穂の元カレでした。康穂と再会してからというもの、ヨリを戻そうと彼女にアプローチし続けています。定助にとっては、恋のライバル。
外見も身分もまるで違う、本来ならば、なんの接点も無さそうな2人。しかし、作中では「こいつら、絶対に何か関係あるだろ」と思うような意味深な描写が目白押し。登場のタイミングもそうだし、透龍くんは孤立する康穂のところに決まって現れるし、何故か院長の顔写真を持ってるし。院長のスタンド能力に襲われた康穂からのSOSにも、対応にいちいち怪しい表情や間があるし。……って事で、ここでは明負院長と透龍くんの関係性やその正体について、あれこれ考えてみたいと思います。
真っ先に注目したいのが名前です。特に「明負」なんて姓は聞いた事もない奇妙なものなので、荒木先生の何かしらの意味・意図が隠されていてもおかしくありません。
「明負 （あけふ）」＝「AKEF」で、「FAKE （偽）」のアナグラム。「透龍 （とおる）」＝「トゥルー」で、「TRUE （真）」のもじり。加えて、二重人格者ドッピオの電話コール音「とおるるるるるる」にも掛けている。そう考えた場合、2人が同一人物の別人格って説も十分あり得そうです。
ただ、それだけではちょっと予想としては物足りない。せっかくなので、もう一捻り加えてみました。それが以下の予想です。
ズバリ、院長＝透龍くん＝「記憶の男」説ッ！
「記憶の男」とは、桜二郎との闘いの最中、フラッシュ・バックした定助の過去の記憶にいた男。私は、彼こそが「岩人間」達のボスであり、「ジョジョリオン」という物語の鍵を握る人物と予想しています。実はこの3人は、「壁の目」のパワーで「融合」しているのです。
3人は元々、まったくの別人。院長は「岩人間」でスタンド使い。恐らく、任意の敵（スタンドで触れた相手？）に「禍い」「厄災」を齎し、何かを「激突」させる能力を持っていたのでしょう。一方、透龍くんは何の能力も無い普通の人間。まず最初に、院長と透龍くんが「融合」しました。たぶん、2011年の9月頃にでも行われたんじゃないかと想像します。
これは、「記憶の男」にとっての「壁の目」の実験です。年齢、種族、能力の有無、それらの違いを超えた「融合」が可能なのかどうか？可能だとしたら、どういう形で実現されるのか？「壁の目」のパワーを利用して野望を達成しようとしている彼には、非常に貴重なデータになる。
「融合」実験の結果、院長は透龍くんの「影」のような存在と化しました。半ば、透龍くんのスタンドのような存在に。2人それぞれの意識・記憶は残されたまま、透龍くんの肉体・精神にも大きな変化は無し。ただし、スタンドが常時、自動的に発現し続けている状態となりました。つまり、スタンド化した院長が常に現れ続けているという事。その影響で、院長の能力に変化が生じます。「自分の存在と正体を護る」事が目的の能力になったのです。スタンドである自分の存在を一般人にも認識させ続け、院長の不在が疑われないようにしました。同時に、その正体をバレなくするために、顔を記憶できなくさせ、正体を掴もうとする追跡者に自動的に「厄災」を起こすようになりました。（病院の講演会に現れ、「LOCACACA 6251」について語っていたのは院長本人。追跡者に見え続けている後ろ姿の院長は、あくまで「厄災」の能力のイメージ的・シンボル的ヴィジョン。同じ院長の姿でも、2つのパターンがある。）
こうして、実験は成功。2人の肉体と精神を半分ずつ繋ぎ合わせた吉良と仗世文の時とは、まったく異なる形での「融合」です。「融合」と一口に言っても、その形にはかなり幅があり、自由度が高い事が判明。
次に、いよいよ「記憶の男」と透龍くんが「融合」しました。院長と透龍くんの「融合」後、そんなに間を置かずに実行したんじゃないかなと思ってます。
そもそも、透龍くんを選んだ理由は、単なる偶然というより、定助にとって大切な存在である康穂に近しい人物だったから。もっと定助に近付き、心を刺激し、秘めた力を引き出したいから。今まではずっと影で暗躍していたけれど、定助の行動も核心に迫りつつある今、表立って行動できる「もう1人の自分」を新たに創り出す必要が出て来たワケです。
「記憶の男」は透龍くんを攻撃し、死にかけた状態で「融合」を実行。彼の生命を救う代わりに、彼の心・意志を差し出しました。そうする事で、邪魔な透龍くん自身の意識を消滅させます。その結果、生まれたのは2人の「記憶の男」。1人は、「記憶の男」の肉体ベース。透龍くんの肉体・生命も混ざり合っているため、彼の記憶も断片的に持っているし、院長のスタンド能力も一部受け継ぎました。「記憶の男」のスタンドは「運命」「因果」に関わる能力（例えば「パラドックス（＝因果的矛盾・時間的齟齬）」を起こす能力とか？）なのですが、「厄災」の要素がプラスされて、より大規模で悪質な能力に変化。もう1人は、透龍くんの肉体ベース。透龍くんの記憶も引き継いではいますが、その意志は「記憶の男」のもの。院長のスタンドの方にも、「運命」「因果」の性質がさらに付与されました。ただ単に悪い出来事を起こすのではない、もっともっと根深く罪深い力になったのです。
つまり、康穂と再会し、彼女にアプローチしまくってるのは、実は透龍くんではないのです。透龍くんに成り代わった「記憶の男」だったのです。そして、定助達を執拗に襲う院長のスタンド能力も、もはや「記憶の男」の能力なのです。「透龍くん」と呼ぶべき存在は、とっくにこの世から消え去ってしまっていたのです。
さりげに、透龍くんの姓・苗字が明かされていない事が気になっていましたけど、これにも意味があります。その姓とは「川尻」。「川尻 透龍 （かわじり とおる）」が透龍くんのフルネーム。４部で吉良吉影に成り代わられてしまったのが、川尻 浩作でした。その宿命をモロに暗示しているからこそ、軽々しく明かせなかったのでしょう。
なお、最新版はこちらに置いときます。 ⇒ 最新版へ