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ジョジョの奇妙な冒険 (TVアニメ)






第12話  柱の男



今回は完全にシュトロハイムに持って行かれちゃいましたね(笑)。声優の伊丸岡さん、見事な熱演です。主人公不在の実験施設という、ともすれば退屈にもなりかねないシチュエーションなのに、めっちゃ楽しませていただきました。シュトロが生き生きと輝いてましたよ。次回で早くも一時退場となっちゃいそうなのが残念。
つーか、今回は「恐怖」「笑い」が絶妙に融合してましたね。ドノヴァンさん戦といい、女装ジョセフといい、ドイツ軍の混乱といい……、けっこうヤバい状況にも関わらず笑わさせてくれたりもするのが「ジョジョ」の良さであり、特に2部の良さでもあります。個人的にツボだったのは、空気供給管からいなくなったサンタナを撮影したフィルムの華麗なカメラワーク編集テクニック。あれ、絶対に見失ってないだろ(笑)。惜しむらくは、ドノヴァンさんへの意地悪な拷問がカットされた点や、女装ジョセフのシーンでの掛け合いのテンポが今いちだった点……かな。
でも、こうやって色々とツッコミ入れたり、カッコいいシーンに熱く震えたり、シュールなシーンで笑ったりと、とにかく「ジョジョ」らしい楽しさを満喫できるアニメですよ。2部は、1部を上回るエンターテイメントに仕上がってくれそうで期待も高まります。次々回では恐らくシーザーも登場するでしょうし、カーズ達も出て来れば、いよいよ2部も本流突入!年末年始を挟むのが、何とももどかしいですね。

(2012年12月22日)




第11話  ゲームの達人



今回からOPが一新!これがまた素晴らしい出来でした。「ジョジョ 〜その血の運命〜」も名曲ではありますが、歌詞からして1部のためだけに作られた曲です。ならば2部も、2部のためだけに作られた曲こそが相応しい。その名も「BLOODY STREAM」!放送前から言われていた通りの、ジャジーでダンサブルな楽曲に仕上がっています。そして、その曲に合わせて繰り広げられるOPムービーもお見事。ジョセフの生き生きとした表情や、カラフルで流れるような動きが心地良い。(ED同様、さりげにジョナサンとジョセフがタッチしてるっぽいのも嬉しいポイント。)
「戦闘潮流」というサブタイトルや、カーズ達の使う「流法(モード)」、そしてジョセフやシーザー達の肉体に流れる誇り高き一族の血。ラストの流れ星。これらを踏まえた上での、この曲名、ムービーの内容。2部アニメは、「流れ」をキーワードの1つに掲げて作られているのかもしれません。力が入り過ぎず、ポップさとクールさとスタイリッシュさが感じられる、2部にピッタリのOPでした。マジで何度観ても飽きないですね。

本編は、スト様戦決着からシュトロ登場まで。今週は恐らく、人類の歴史上最も「あ〜ん!スト様が死んだ!」が書き込まれる一週間となる事でしょう。そんな偉業の立役者たるスト様ですが、改めて見てもあっけない(汗)。1部ではあれほど圧倒的な力で恐怖と絶望を植え付けてくれた吸血鬼も、2部では物語の序章であり、「柱の男」達の前フリに過ぎません。まあ、世界征服を目論むディオと、永遠の若さを手に入れたいだけのスト様とでは、吸血鬼としての格も違うのかもしれませんが、とにかく2部のスケールのデカさが窺えようというものです。
ブルりんの活躍シーンや「ナチス」ってワードのカットは残念ですけど、ストーリーの流れはしっかり押さえられており、相変わらず楽しいアニメでした。今さらながら、やっぱ音声があるってのが漫画とは決定的に異なる点だよなあ。漫画を読んでのイメージとは違った声質だったり演技だったりする事も多いんですが、その分、「おお、そう来たか〜」「これも意外とイイじゃん」と感じる事もあって面白いもんです。スタッフさんや声優さんそれぞれが、自分の中に作った「ジョジョ」を全力で表現してくれれば、それがどういったものでも敬意を持って堪能させていただこうと思います。

(2012年12月15日)




第10話  ニューヨークのジョジョ



第1部最終回の感動冷めやらぬ中、さっそく第2部開幕です!部ごとに雰囲気がガラッと変わる原作の特徴を、より強調している印象を受けました。まず、なんといってもBGMの影響はデカい。松尾早人氏による重厚で荘厳な曲から、岩崎琢氏による軽妙でポップな曲へ。冒険活劇となり、エンターテイメント性が高まった2部にベリーマッチ。当時のアメリカを思わせる、どこかノスタルジックな空気も漂っていますね。また、色調も全体的にカラフルになった感じです。特にニューヨークの街並みとか、印象的なシーン(ジョセフが警官に「波紋」を使うシーンや、マフィアの大男がメリケンサックを探すシーン等)とか。
ジョセフが名乗った直後に、ババーンと「Part2」「戦闘潮流」と出て来るところは興奮しましたね。どうせなら1部でもやってほしかったな〜。キャラデザイン声優さんに関しても、個人的にはオールOK!それぞれの特色がうまく出せているんじゃないでしょうか。ジョセフ役の杉田さんは「ハルヒ」のキョンの印象がまだ強いんだけど、想像以上に良かった。うまいこと、ジョセフに馴染んでくれそうな予感がします。メインキャラは言うに及ばず、警官やタクシーの運ちゃん、マフィアの大男なんかもすげえインパクトで笑っちゃいました。遊び心もたっぷりで、少年ジョセフが読んでるマンガが「BAOOH!(バオー)」だったり、スト様が現れたカフェの名前が「IRENE(アイリン)」だったり。細かい部分も見逃せません。

正直なところ、第2部のスタートを飾るには文句なしの出来だったと思います。ホント、ワクワクして楽しいな。次回から新OPも流れるようで、今から待ち遠しいです。EDは今までと同じ「ROUNDABOUT」ですが、映像としては1部の続きとなっていて唸りました。横移動だった1部から、今度は縦移動に。ジョナサンからジョセフへとバトンタッチされる絵になっていて、何とも言えぬ感慨が沸き起こってきます。そんな2人を見守る、若きスピードワゴンと老いたスピードワゴンもイイですねえ。
次回予告から推測するに、次回でスト様との決着どころか、シュトロハイムやらドノヴァンさんまで登場するようです。2部に突入しても、テンポの速さは変わりません。色々と問題になりそうなナチスの描写については、「ナチス」ではなく「ドイツ」って言葉で統一し、エグいシーンはカット……って事になるのかな?原作でも、シュトロの「世界一ィィィィィィ!」はドイツだったりナチスだったりしてるワケで、そこは大きな変更にはならないですし。でも、今回にしても「アメ公」が「ポリ公」になったり、人種差別的セリフがカットされてたりしました。大勢に影響はなくても、ちょっと物足りなさは感じる事になりそうですね。臭い物には蓋って考えは好きじゃないんですが、ヤブヘビを避けるためには必要なんでしょう。町中でマシンガンをブッ放つジョセフの方がよっぽど危険な気がしますけど(笑)。

(2012年12月9日)




第9話  最後の波紋!



いよいよ第1部の最終回です。ジョナサンの青春を締め括るに相応しい感動のフィナーレでした。尺の心配はやはり杞憂だったようで、違和感なく時間ピッタリに収めてくれていました。ジョースター夫妻の見送りでドタバタしてるスピードワゴンに、スティクス神父の船出、そしてリサリサの両親らしき人達のさりげない描写など……、原作を巧く再構築しています。渡り鳥を見て涙するエリナがジョナサンに抱き付くシーンや、ディオがジョナサンとの奇妙な運命を語るシーンでは、過去の映像が流れて感慨に耽る事も出来ました。ラストのエリナの眼差しにも、ジョナサンの命と意志と未来を受け継いだ力強さが感じられましたね。
贅沢を言えば……、エリナとジョナサンの最期のキスや、涙を流しながらジョナサンを見つめるエリナは、もうちょっと「間」「余韻」が欲しかったところです。でも、やっぱりこれらのシーンの切なさはスゴイ。泣かせてくれるぜ……。1部で描かれたキスシーンは2つで、どちらもエリナが絡んでいます。相手はディオとジョナサンですが、そのシチュエーションからエリナの心情から、すべてにおいて正反対。泥水よりも汚らわしいディオとのキスとは対照的に、ジョナサンとのキスはあまりにもまばゆく神々しい。
そして、そんな人間の「善性」「悪性」そのものとすら言えるジョナサンとディオ。大切な人を守るために命を燃やし尽くし、死すら穏やかに受け入れたジョナサン。自分のためだけに生き抜き、どこまでも足掻き続けたディオ。多くの人々の想いを受け継ぎ、最期にはエリナに想いを託していったジョナサン。あらゆるものをただひたすら奪うだけだったディオ。その2人が、最期の最期に互いを認め合って消えていく。気高さも醜さも、強さも弱さも含めて、「人間」。美しすぎる人間讃歌でした。

あちこちで感想を見た印象では、このアニメはかなり好評な様子です。おかげで1部も再評価された感じだし、アニメがキッカケで「ジョジョ」を読み始めたって方もいるみたいで、私としても嬉しい限りです。期待を大きく上回ってくれました。このアニメに携わったすべての方々の、「ジョジョ」への愛仕事への情熱がこの結果を引き寄せたに違いありません。心から敬意を表したいと思います。
そして!息つく間もなく、次回から第2部に突入ッ!わずか9話で駆け抜けた1部とは異なり、2部はその倍近い話数で描かれるようです。1部とはテンポが随分違っちゃうんじゃないかって危惧もありますが、きっとこれも杞憂でしょう。1部以上の盛り上がりを、大いに期待しています。

(2012年12月2日)




第8話  血戦!JOJO&DIO



サブタイトル通り、今回はジョナサンとディオの鬼気迫る血戦ッ!さすが主役2人の激突だけあって、第3話に匹敵する熱さでした。絵柄もこれまで以上に原作寄りになっていたし、声優さん達の熱演も凄まじいテンション。今さらながら、重厚なBGMも1部の世界観にピッタリでゾクゾクさせられます。このアニメを作る現場全体のモチベーションが最高潮に達しているであろう事が窺えますね。それゆえに生まれる「引力」に、引き込まれる引き込まれる。とにかく、観てて楽しい!
ディオの「無駄無駄」連呼や、ラストのスピードワゴンがツェペリさんに語り掛ける感じになってた点も、なかなか良い改変でした。前者は3部のDIOに今からイメージを近付けているようだし、後者は義理堅く人情味溢れるスピードワゴンの性格が出ています。
その他細かい部分を言っていきますと……、まずドゥービーのルンルンっぷりが可愛かったです(笑)。前回のアダムスさん然り、速攻で倒されるキャラでも、妙な愛着が湧いてしまうのが「ジョジョ」ですね。ただ、自分の飼いヘビ達に食い殺される原作とは異なり、ヘビを通じて「波紋」を流されて溶かされるって描写でしたが、これは規制か何かなんでしょうか。ヘビの血液をトチ狂わせた感が足りなかったのは残念な点。ポコの姉ちゃんも相変わらずの凛々しさ&可愛らしさ。名前を教えてほしいくらいです。ディオを流血させる程、クリーンヒットしたビンタの威力も強烈無比!ポコをいじめてた悪ガキ共も、きっとこのビンタで制裁され、彼女を恐れていたに違いありません。血管針4人組もキッチリ登場!ファンの期待に応えてくれました。ディオの動きはいちいちキレが良くって面白いし、スト様命名の「空裂眼刺驚(スペースリパースティンギーアイズ)」もまさに空をも裂く威力で驚き。

前回あたりから、各シーンを割とじっくり描くようになってきた印象があります。それまではテンポが良すぎっつーか、内容を詰め込みすぎって勢いでしたけど、ここに来てようやく「テンポが良い」に落ち着いてきています(笑)。クライマックスからエンディングにかけては、丁寧に描き切ろうという事なのかな?次回なんて新婚旅行の話オンリーなのに、時間が余ったりしないのかと逆に心配になってしまいます。(まあ、うまくまとめてくれると信じてますけど。)
唯一、個人的に残念だったのは次回のサブタイトル。1部最終回なら「忘却の彼方へ」で締めてほしかったところです。……でも、今から本当に次回が待ち遠しい。涙をちょちょ切らせる準備は出来ているッ!赤ちゃんリサリサを抱いたまま、涙を流して無言でジョナサンを見つめるエリナのシーンだけは、そしてそれを受け、微笑みを湛えてエリナの幸せを祈るジョナサン最期のシーンだけは、どうかどうかたっぷり尺を使ってくれますように。

(2012年11月25日)




第7話  うけ継ぐ者



とうとうツェペリさんがアニメでも逝ってしまわれました。原作でもそうでしたが、せめてタルカスに一矢報いてほしかったですね〜。でも、あっけないぐらいの方がタルカスの圧倒的強さを、そして、それをも上回るジョナサンのほとばしる程の強さを表現できるって事なんでしょう。むしろアニメの方が、タルカスの攻撃を華麗に避けたりしてた分、ツェペリさんの見せ場を作ってくれてたと思います。命中こそしなかったけど、「波紋乱渦疾走(トルネーディオーバードライブ)」もカッコ良かった。
つーか、今回は「波紋」の描写に気合いが入っていたようです。初っぱなのトンペティ老師の予言にしても、ツェペリさんの究極奥義「深仙脈疾走(ディーパスオーバードライブ)」にしても、神々しい光が派手に画面を満たしていました。特に「深仙脈疾走」は、まさしくツェペリさんの生命そのものがジョナサンに伝わっていく感じがして、胸に迫るものがありましたね。
たったの4話分しか登場していないのに、ツェペリさんの存在感はすっかり大きくなっており、彼がいなくなってしまったのはやはり寂しいです。でも、目を覆いたくなる程の残酷な死にも関わらず、彼自身は全てに満足して穏やかに眠りに就いたのが印象的。ただ自分の遺伝子と血を遺すだけではなくて……、誰かに自分の力を伝え、意志を託せるという事は、人間として最上の生き方であり幸福なんだろうなと思いました。1部の時点ではまだまだ気が早いんですが、スピードワゴンなんて生涯独身だったけど、SPW財団は彼の意志を受け継ぎ、彼の死後もずっとずっとジョナサンの子孫達を陰から支え続けてくれました。「ジョジョ」は血統の物語ですが、それだけではありません。意志や因縁をも含め、誰かに託し、誰かが受け継ぐ物語。それを改めて実感しました。今回のサブタイトルは、まさにその象徴です。

そんな具合でシリアスな内容だったものの、笑えるシーンも外していません。鎖でぶら下げられたまんま悪態をつくタルカスとか、地面に落っこちて鎖を頭にぶつけるタルカスとか。どうせなら、断末魔の「UW UW HOH―!」や擬音の「バム」「ゲデン」もしっかり再現してくれると嬉しかったなあ。アダムスさんもなかなかのインパクト!屍生人(ゾンビ)ながら憎めないキャラです。ダイアーさんの眼光も、キュピーンとやたらいい音鳴らしてて笑えました。スト様もいよいよお出ましです。
そして何より、ディオのセリフ。子安さんはいつも通りのノリノリっぷりで、あの演技掛かった言い回しがカッコイイやら恐ろしいやらユーモラスやら。でも、彼が言った「ゾンビになれば、悩みも苦しみも親子で憎しみ合うこともなくなる」って言葉、人間だった頃のディオの人生を思い返すとちょっと意味深に聞こえますね。「人間」としての誇りも、自分の意志も生きる力も失ったゾンビは、(荒木先生も言うように)何よりも平等なのかもしれません。ただ、人間は不平等ゆえに悩み、苦しみ、憎み合ったりもするけど、不平等ゆえに成長したり、支え合ったりもできるワケで。つくづく1部は、「人間」である事を捨て去った者達との戦いを通じて、「人間」の喜びや素晴らしさを描いている部ですね。

(2012年11月18日)







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