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ここに書いているのは、スタンドの個人的な解釈に過ぎません。
原作の設定・描写をベースに、
勝手に考察・妄想しただけのものです。
正確な公式データが欲しいという方には何の役にも立ちませんので悪しからず。




リンプ・ビズキット / 本体: スポーツ・マックス
< 死者の「魂」を呼び戻す能力 >





<特徴>
2012年頃、囚人:スポーツ・マックスの「不幸や死を招く才能」にエンリコ・プッチ神父は目を付けた。そんなスポーツ・マックスの才能と相性の良い能力として、プッチのスタンド『ホワイトスネイク』「DISC」によって授けたのがこのスタンド『リンプ・ビズキット』である。
そのため、元々のオリジナルの能力から多少なりとも変化している可能性もある。


大量のウジ虫のようなヴィジョンを持つ、群体型スタンドである。
大きさも実物のウジ虫ほどで、スタンド自体のパワーやスピードは極めて弱い。反面、射程距離はかなり長いと思われる。




<能力>
死者の「魂」を呼び戻す能力



本体:スポーツ・マックスは残虐非道なギャングである。人を傷付け命を奪う事に何の躊躇いも抱かない、粗野で狂暴な男である。彼の周りには必然、多くの人々の不幸や死が溢れ、悲しみや呪いの念が渦巻いている。『リンプ・ビズキット』は、そんな罪深き男だからこそ使いこなせるスタンドなのだ。
ウジ虫のようなヴィジョンが死体(遺骸や遺骨)に取り憑くと、「あの世」にまで届く特殊な「引力」を発し始める。そうして、その死体の主の「魂」を「この世」へと呼び戻し、死体のすぐそばまで引き寄せるのである。
その際、スポーツ・マックスが怪しげな呪文のような言葉を詠唱する事があるが、それは単なる演出と思われる。能力との直接的な関係は無い。


「ジョジョ世界」はある超越的・絶対的な力で満たされており、ありとあらゆる存在がこの力を共通して保有している。『フー・ファイターズ』(が引用した天文物理学者フレッド・ホイル)の言葉を借りるなら、その力とは「知性」である。全ての物質や生物はこの「知性」に導かれて生まれ、物質や生物に宿る「知性」は自身の「情報」を絶えず記憶し続けているのだ。
そして、この「知性」は大なり小なり互いに反応し合い、影響し合い、「物質世界」において1つの巨大な流れを形作る。何者にも抗えぬ「因果の流れ」、なるべくしてなる「必然の連続」。人はそれを「運命」と呼び、「運命」を決定付ける「知性」そのもの(が持つ意志のようなもの)を「神」と呼ぶのである。
スタンド使いとはこの「知性」「運命」に選ばれた存在であり、それゆえ、スタンド能力は多かれ少なかれ「知性」に働き掛ける力を有しているという事になる。


「知性」「魂」が、有機物の「肉体」に宿った存在こそ「生物」である。生物は、自らの内に宿る「知性」によって、自分自身や外界の存在を感知し、認識し、記憶し、思考できるようになった。そして、より大きく、より複雑な構造の頭脳を持つ生物であるほど、「知性」をより高度に発揮する。自分の内的世界を外界に表現・創造し、外界からの刺激を自分に取り込んで変化・成長し、活動する事が出来る。現在の地球上では、人間が最も高度な生物と言えよう。人間が持つ意志だけが、「物質世界」において決定付けられた「運命」の形の中に「意味」を見いだし、その「意味」を変えたり、さらなる「意味」を付与したりする事が出来るのだ。
そんな人間を始めとする生物の「肉体」に宿って活動し成長した「魂」は、死の直後、「肉体」と「知性」から離れても、その意志と姿が保たれている。とは言え、死んで「魂」だけになれば、すぐに「あの世」に飛んで行ってしまう。そして、浄化されてまっさらな状態に戻り、意志も消え去って、やがては再び「この世」に生まれ変わって来るのだろう。
ところが、『リンプ・ビズキット』が発する引力は、それらを無視して「魂」を強引に呼び寄せてしまう。たとえ「魂」がまっさらになっていようと、あるいは粉々に砕かれてどこかに漂っていようと、かつての姿・形に復元してしまう。もし、すでに生まれ変わっていたとしても関係ない。恐らく、その生まれ変わりの生物の肉体からは「魂」が抜け、(『ホワイトスネイク』に「DISC」を抜き取られた者のように)仮死状態に陥るものと思われる。


呼び戻された「魂」は、特殊な引力によって、『リンプ・ビズキット』が取り憑いた死体と強固に結び付く。そして最終的には、自身の死体とまったく同じ姿・形になるのだ。だが、その姿はスタンド使いでさえも見る事は出来ない。
それは、俗に「幽霊」と呼ばれる存在に近い部分がある。「幽霊」とは、「場所」や「スタンド能力」等が持つ力に縛られ、意志と姿を保ったまま「この世」に留まり続ける「魂」の事を指す。「幽霊」は存在が希薄で、通常、生きている者の目には見えない。お互いの「魂」の波長とでも言うようなものが合った者しか、存在を知覚できないのである。スタンド能力や何らかの霊能力を持つ者は、霊的な領域が常人よりも広いため、波長が合う事が多いようだ。
『リンプ・ビズキット』が呼び戻した「魂」も、波長さえ合えば、見る事が出来るのだろう。しかし、『リンプ・ビズキット』の能力により、その波長は本体:スポーツ・マックスにのみ合わせられている。スポーツ・マックス以外の者には見えなくなっているのだ。せっかくの「見えない」というアドバンテージを手放す理由も無い以上、彼がわざわざ他の人間にも見えるように波長を調節する事もあり得ない。


『リンプ・ビズキット』が呼び戻した「魂」は、「幽霊」に近い部分を持つが、その「存在」としての力は比較にならないほど強くなっている。普通に物質に干渉できるし、物質からの干渉も受ける。知能は低く、非常に凶暴。生者の血肉に飢えており、近くにいる生物を本能的に襲って喰らう。たとえ骨が折れようと、意にも介さず襲い続けるだろう。「見えない死骸」 「透明のゾンビ」とでも呼ぶべき怪物と化しているのだ。
ただし、『リンプ・ビズキット』の能力に支配されているため、本体:スポーツ・マックスの命令には忠実に従う。また、呼び戻した「魂」が目の届かない場所に行ってしまっても、スポーツ・マックスはおおよその位置を感じ取る事が出来る。


同時に複数の「魂」を呼び戻す事も出来るため、「透明のゾンビ」の大群も作れる。人間、鳥、ワニなど、種族も問わない
作中でのスポーツ・マックスは、動物の剥製をこしらえたり、霊廟(墓地)に誘い込んだりと、「透明のゾンビ」を効果的に作り出せるシチュエーションを用意していた。


「透明のゾンビ」に血などを浴びせ掛ければ、その姿を視覚で捉える事が出来るようになる。ただし、それはすぐに体表を流れ落ちてしまい、再び見えなくなってしまう。また、羽音やゲップは何故か聞こえるが、「声」は生者には届かないようだ。
一方、喰われるなどして、「透明のゾンビ」の体内に入った物質は見えなくなる。だが、体外に吐き出された時点で再び見えるようになる。


「透明のゾンビ」はあくまで「魂」であり、通常の物理法則や常識には縛られない。
そのため、壁や天井を歩いて移動する事も出来る。意表を突いた縦横無尽な攻撃が可能である。


「透明のゾンビ」はある程度のダメージを受けると消滅する。そのダメージとは、行動不能になる程度のダメージであろう。
前述の通り、『リンプ・ビズキット』が発する特殊な引力ゆえ、「透明のゾンビ」は自身の死体と強く結び付いている。そして、両者は常に、まったく同じ姿・形である関係を保ち続ける。つまり、「透明のゾンビ」へのダメージは死体へのダメージとなり、その逆も同様なのである。そういう意味では、「透明のゾンビ」は死体を本体とした疑似的なスタンドのような存在とも言える。「透明のゾンビ」(=スタンド)がどれほど強かろうと、死体(=本体)の方を攻撃して潰してしまえば行動不能となり、「透明のゾンビ」も消滅してしまうのだ。


『リンプ・ビズキット』は死者の「魂」を引き寄せる「引力」の発生源であるがゆえに、たとえ本体が死んでしまったとしても、その「魂」を「この世」に留め続ける。死ぬ事も滅びる事も許さず、「透明のゾンビ」として甦らせるのだ。つまり、『ノトーリアス・B・I・G』や『シビル・ウォー』に近いタイプの、「本体の死」すらも内包した極めて珍しいスタンドなのである。
この本体の「透明のゾンビ」は、他の「透明のゾンビ」達とは異なる点がある。1つは、ハッキリとした自我や理性が残っている点だ。強烈な飢え・渇きを訴え、生者の脳ミソを喰らって癒そうとする獰猛さを持つが……、それでも生きていた頃と同じように思考し、人語を操れる。もう1つは、自らの体を切り離して動かす事が出来る点である。作中では、自分の首を切り離し、エルメェス・コステロの攻撃を回避したりしていた。切り離した部分を再びくっ付ける事も可能。ただし、他者からの攻撃であればダメージを食らうため、受けたダメージ次第では消滅してしまう事もあり得る。
なお、植え付けられた『ホワイトスネイク』の「DISC」の所在も、肉体から「透明のゾンビ」の方に移動する。(と言うより、元々「DISC」は肉体ではなく「魂」に挿し込まれている、と言った方が正確であろう。)


本体の「魂」を「透明のゾンビ」と化してしまう事で、『リンプ・ビズキット』の能力は完成する。肉体や生命に依る事なく、半永久的に存在し続けられるようになるからだ。
もっとも、自我や理性を保ち続けるためには、生者を喰らい続けなければならないだろう。また、自分の死体が腐り朽ちてしまえば、「透明のゾンビ」としての姿も崩れてしまう。そうなる前に、防腐処理などを施し、死体を安全に保存する必要もあるだろう。しかしそれは、「人間」である事を捨ててまで、己(おの)が存在を「この世」に縛り付ける事に他ならない。あまりにも忌まわしくおぞましい、呪われた能力と言える。
この「呪い」を断ち切る唯一の方法が、『ホワイトスネイク』によるスタンドの「DISC」化である。「DISC」に封印して取り出せば、本体もようやく「呪い」から解き放たれ、真っ当に「あの世」に行けるのだ。


DIOの「魂」を呼び戻した時は、「透明のゾンビ」にはならず、「魂」がたった1個の遺骨そのものに宿った。そして「骨」は、スポーツ・マックスのコントロールを離れ、ひとりでに動き出した。
これは例外的な出来事であり、DIOが生前、『天国』へ行く方法の儀式を進めていたからこそ起こった変化だった。DIOの「魂」には「14の言葉」が直接刻み込まれており、その影響で、『天国』へ行くという目的・理想を叶えようと行動できたのだ。『リンプ・ビズキット』の能力をもってしても、完全には制御・支配できなかったのである。しかも、『リンプ・ビズキット』解除後も「骨」は動き続けた。即ち、『リンプ・ビズキット』の能力はあくまでキッカケに過ぎず、DIOの「魂」は「骨」とすっかり馴染んで定着していたという事だ。
(なお、『天国』へ行く方法の詳細については、コラム「『天国』へ行く方法の研究」にて述べる事とする。)




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