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てめーはオレらツェペリ一族250年の「鉄球」を見下してんのかッ!
おめーの今までやってた事はまだ『入門編』にすぎねえ!!


#18 さらなる段階





●今回のトビラ絵は、珍しくジョニィ単体でした。「左腕」と「脊椎」をバックに、立てないながらも見事なポージングを決めてくれております。この絵だけで、ジョニィの生長の時が間もなく訪れる予感を期待させてくれますね。


●ここで明かされるジョニィの悲しき過去!ジョニィの本名はなんとジョナサン・ジョースター!まあ、「ジョニィ」も「ジョーキッド」もいかにも愛称ですし、青マルジャンプでは「ジョニーっていう名前はジョナサンがベース」とも言っていたので、すんなり納得しましたけど。そして、没落した貴族の末裔であり、イギリスで少年時代を過ごしていた事実も判明しました。しかも、テーブルマナーで父親にこっぴどく叱られるわ、ネズミのダニーまで登場するわ、1部ゲー発売を前にして1部との繋がりが色濃くなった感じ。
一番のサプライズが、兄・ニコラスの存在でした。荒木先生がイラストを担当した『ストームブレイカー』等の主人公・アレックスによく似たヘアースタイルです。穏やかで優しい性格、そして自在に馬を操る才能……、幼いジョニィにとって尊敬と憧れのヒーローだったに違いありません。
ところが、そんなニコラスは練習中の落馬事故によって命を落としてしまいます。白ネズミに馬が驚いたせいだとの事ですが、正直言ってディエゴが怪しい……。お互いにまったく意識もしてなかったものの、ジョニィはこの当時からすでにディエゴと出会っていたのです。なんという運命。ディエゴが何か細工して、自分の邪魔になりそうな天才・ニコラスを始末したのでは……?本当にダニーが戻って来てしまったのかもしれないし、ディエゴがそこまで腐りきった野郎とは思いたくないんだけどね。
ちなみに、ニコラスが事故った時、みんなが無言で駆け付けていって、ジョニィだけが把握できずに立ち尽くしてるシーンが印象深かったです。本当にヤバい時って、きっと声も出せないんだろうな。


●時は流れ、ジョニィも祖国・アメリカで鮮烈デビュー。亡き兄を追い駆けるように、立派な天才ジョッキーに成長しています。この時点でジョニィは恐らく16歳(ニコラスが死亡したのは9歳の頃の出来事のはず)。
底の抜けたブーツの代わりに、ニコラスの形見のブーツを借りようとした所で、父親に発見されてしまいます。父親はとにかくニコラスばかり愛しているようで、ジョニィにはやたら厳しい。「息子は乗馬の天才だ」などと褒めていたのも、ニコラス程の才能はないと感じるまでだったのか。もう住む国さえ違い、関わる機会もほとんどないだろうに、いちいちディエゴとまで比較してるし。ジョニィとディエゴはウワサで知ってる程度の接点しかなかったワケだから、「ディエゴと闘った事すらないクセに優勝なんて言葉を軽々しく扱うな、井の中の蛙め」ってイヤミなんでしょうが。今は遺体探しに夢中になってるジョニィだけど、こういった因縁の中で、このレースで優勝したいと強く望むようになってくれたらイイなあ。兄もディエゴも超えて、真のNo.1になろうと奮起してほしいです。
父の冷たい態度にジョニィは反抗し、その結果、父をケガさせてしまいました。その時に漏れた父の本音。「ニコラスじゃあなく、ジョニィが死ねば良かったのに」という、あまりに酷い最低の言葉。ジョニィの心はズタズタに切り裂かれ、ついに父と決別する事に。母親がジョニィをどう思っていたのかは知りませんけど、描かれてさえいない事から、大して関心も持ってなさそう。もしくは、この7年の間に死んでしまったのかも。
そうしてジョニィは心を閉ざし、兄もディエゴもいないレースで勝ち続け、父へ当て付けるかのように調子こいていったのです。その挙句、1年後には下半身不随の絶望へ……。ジョニィの心の底には、「自分がダニーを殺せなかったせいで兄さんが死んだ。本来なら自分が死ぬべきだったのに。だから、その代わりに全てに見捨てられる『宿命』なんだ。」という想いが根付いてしまっているのです。ジョニィの心の闇は、想像以上に深かった。ただ父に認めてもらいたかっただけなのに、今では自分で自分の存在さえ認められなくなっている。ジョニィの孤独な青春に泣けてきました。


●時は再び現在へ。ヴァルキリーに掴まるジョニィは、追って来る恐竜へ攻撃!何故か恐竜は『タスク』で普通に粉砕できました。でも、別の恐竜が肉片を投げ付け、ジャイロ達へダメージがッ!どうやらこの能力、音のエネルギーが流れ伝わり終わった場所で効果が現れるようです。するとなると、前回の小屋やドット・ハーン自体はエネルギーが込められた物質ではなく、流れていくエネルギーを伝えるための媒体でしかなかったって事かな。狙った場所へ攻撃するという正確さ・精密さには欠ける能力っぽいですが、そんな弱点は恐竜の数を増やしてカバー。その上、翼竜までも迫って来ました。ディエゴも能力を使いこなせてきたのか、生み出せる恐竜の種類も豊富になりつつあるよう。
ダメージ回復のためにホット・パンツを探そうとするも、もはやそれどころではありません。そもそもホット・パンツも放置プレイやサンドイッチの件を根に持ってる可能性もあるし、素直に治してくれるかどうか……。まだゾンビ馬が残っているなら、それを使うって手もありますが、いつの間にか大ダメージも軽傷に変わってたりするマンガだし、そんなに心配はいらなそうですけど。
行く手にはミシシッピー川も立ち塞がり、ジャイロ達は馬から飛び降りて泥の中へ。泥や水の中に潜ればエネルギーが分散されるのです。しかし、このスタンドは脅威の応用性を秘めています。「ザグッ」とか「バカラ」といった切断や打撃のエネルギーのみならず、「メラメラ」と燃やすエネルギーも操れるのです(#16の感想で書いたまんまの使われ方でビックリした)。無論、「音」の数だけ操れるエネルギーも存在するワケで、使い用によってはこれほど恐ろしく万能な能力もありません。『エコーズ ACT2』は味方側のスタンドだったし、あまり活躍もしないうちに進化しちゃった事もあるんで、その分、この能力は遠慮も容赦もなく、えげつなく使いまくってほしい所です。


●いよいよ大ピンチのジャイロ&ジョニィ。しかし、弱気発言を連発するジョニィに、ジャイロは怒りを露わにします。と言うか、あれはジョニィの心の声ではなく、実際に口に出してたんですね。それは確かにウザッたいかも……。
でも、ここでジャイロの衝撃発言!なんとジャイロ先生の回転講座はまだ続いていたのです。ジョニィに教えた「回転」など所詮、序の口の「入門編」に過ぎませんでした。敬意を払って、さらなる段階へ!「(たしか… たぶん)」とジャイロ先生も荒木先生も記憶が曖昧みたいだけど、LESSON3ではなくLESSON4のスタート!鉄球の歴史が「250年」とも言ってますが、4巻では「380年の任務」って書いてますね。「回転」の技術と「鉄球」が生み出されて250年であり、最初の130年間は普通に死刑執行してたのでしょうか?
スタンドを身に付けて以来、ジョニィも興味の対象が「遺体」に移り、ジャイロも教える気がなくなったもんだと思っていたんで、この意外すぎな展開には驚き、そして燃えてきました。安易に「脊椎」の能力が発現するのではなく、『タスク』がパワーアップするのでもなく、技術(ワザ)で危機を切り抜けるってトコがシブいぜ。『宿命』にとり囲まれ、追いつかれた時、ジョニィに希望をもたらしてくれるものはやはり「回転」の力なのです!「回転」の原理が解説される事はもう諦めかけていたけど、これは期待できそう。再びスポットを当てられたツェペリとジョースターの師弟関係もまた、1部を彷彿とさせますね。
とは言え、鉄球も何もない状況でどうするつもりなのか?いや……、鉄球がなくとも泥がある。近くには馬車の車輪らしき物や川の水もある。ひょっとすると車輪か水を回転させて、川に大きな渦を作り、恐竜どもを流して片付けつつ川も渡ってしまおうって作戦なのか。ジャイロ1人ではなく、ジョニィの「回転」も加わる事で可能になるとかで。あるいは、エネルギーの流れを支配する事に「回転」の本質・真髄がありそうなので、最終奥儀に近い現象を起こして、音エネルギーを弾いたり避けたりするのかも。


今月は51ページ。またもや、いつもよりページ数が少ない。さすがに25周年プロジェクトやら何やらで忙しかったのかもしれません。60ページ以上読みたいのは本音ですが、それでもこれだけのページ数とクオリティを保ってくれているのだからOKです。いつまでもこの状況が続くワケでもないでしょうしね。きっと次回は60ページさ!
それにしても、今回はジョニィが切なすぎでした。ジャイロの生長に一段落ついたら、今度は俄然ジョニィが主人公っぽくなってきましたよ。「SBR」は、生きる事に迷ったり立ち止まったりしていたジャイロとジョニィが、旅を通じて「誇り」を手に入れてゆく物語なのかも。支え合いながら旅を続けるこの2人は、最高の主人公達であり、本当にいいコンビだ。お互いに1人で立ち上がり、自分の道を歩き出せるようになった時こそが、2人がダブル主人公である必要がなくなった時。このレースと物語が終わる時なのでしょう。最終STAGEで、ジャイロとジョニィが最大最強最後のライバルとして純粋に優勝を争ってくれたら感無量。



(ちょびっと追記)
●ここで改めてジョニィに「回転」を教える事になったのは、今後の展開への布石でもあるのかもしれないと思いました。例えば、大統領の元に全ての「遺体」が揃う事になったとしたら、スタンド能力を失ったジョニィは戦う術がなくなってしまいます。今のうちに「回転」を操れるようになれば、充分に立ち向かえるはずですからね。
あと、ディエゴも「回転」を使えるようになったりすると面白いかも。幾度となくジャイロ達とぶつかり合っていくうち、その脅威の動体視力と観察力・分析力で「回転」のメカニズムを完全に理解してしまう。そして、伝統の技術をディエゴに奪われ、敗北を喫してショックを受けるジャイロが、自分だけの「回転」を編み出そうとするって展開を予想。本来は人体をリラックスさせるための技術だけど、逆に攻撃性・殺傷性を極めた「回転」を生み出すべく、レースしつつ修行を積むとか。
以前から言っていますが、やっぱし「回転」が技術である事を前面に押し出してほしい所ですね!




(2006年9月17日)
(2006年9月25日:ちょびっと追記)




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