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ここに書いているのは、スタンドの個人的な解釈に過ぎません。
原作の設定・描写をベースに、
勝手に考察・妄想しただけのものです。
正確な公式データが欲しいという方には何の役にも立ちませんので悪しからず。




C-MOON / 本体: エンリコ・プッチ
< 「重力」を逆転させる能力 >





<特徴>
2012年、本体:エンリコ・プッチの本来のスタンド『ホワイトスネイク』が、「永遠」「無限」の力を秘めた「緑色の赤ん坊」と融合して生まれたスタンド。
プッチはDIOの意志を受け継ぎ、『天国』を追い求めていた。『天国』とは、精神の進化が行き着くところ、本当の幸福がある理想郷の事を指す。このスタンド『C-MOON』もまた、『天国』に辿り着くために必要な過程であり、重大な要素なのである。
(なお、『天国』へ行く方法の詳細については、コラム「『天国』へ行く方法の研究」にて述べる事とする。)


引き締まった筋肉質なボディーの人型ヴィジョンを持つスタンド。
その姿は『ホワイトスネイク』と「緑色の赤ん坊」の両者を彷彿とさせる。頭部と胸部には、『ホワイトスネイク』同様、DNAを構成する4種類の「塩基」の記号「G (グアニン)」「A (アデニン)」「C (シトシン)」「T (チミン)」が描かれている。 葉が芽吹いたような、あるいは花が開いたような独特の瞳や、葉脈のようにも見える顔のスジは、「緑色の赤ん坊」そのものである。また、体のあちこちには「矢印」がデザインされている。


イカつい見た目に反し、スタンド自体は遠隔操作型である。射程距離は恐らく数十m。
スピードは比較的速いものの、パワーはほぼ無いに等しい。しかし、後述する「能力」により、パワーなど不要なスタンドとなっている。
『ホワイトスネイク』のように独自の意志を持つが、未完成のスタンドであるためか、知能や判断力はそれほど高くない。本体との距離が近くなるほど、本体が具体的な命令を出すほど、動きはより精密になる。


スタンドのダメージは本体にフィードバックする。
もっとも、『C-MOON』が空条徐倫のスタンド『ストーン・フリー』の「糸」で首を絞められた際、プッチの方は平然としていた。2つの存在が融合して生まれたからか、意志を持つがゆえに半ば独立しているのか、100%のフィードバックではないようだ。プッチに伝わるダメージは、せいぜい50~60%程度であろう。




<能力>
「重力」を逆転させる能力



ケープ・カナベラルは、『天国』に到達するための重大な場所である。アメリカ合衆国・フロリダ半島に位置し、その土地はケネディ・スペース・センターがある事からも分かるように、地球上でも特に「重力」が弱い場所になっている。そして、この地の影響を受け、「重力」を身に宿したスタンドが『C-MOON』なのだ。
『C-MOON』は、「重力」の方向を逆転させる能力を持つ。だが、これは未完成・不完全・微弱な能力であり、これから訪れる『天国』の時の前兆に過ぎない。


万物には「重力」が働いていて、それは全て「重心」の方向に引っ張られている。それがこの世の法則であり、地球だろうとリンゴだろうと共通している。だが『C-MOON』は、その「重力」の方向を狂わせ、まったく違う方向に変える事が出来るのだ。
地球の「重力」の方向は、本体:エンリコ・プッチを「基点」としておおよそ放射状に広がっていくようになる。この時、(外見上の変化こそ無いが)プッチが実質的に「頂点」「頂上」となり、あらゆる物質はてっぺんから落ちるように彼の元から離れていく。つまり、プッチから見た前後左右の方向において、物質は地面と水平に落下していく事になる。「重力」自体の強さや落下スピードは、基本的に通常のままである。能力射程は、プッチを中心に3km程の範囲。


プッチから見た真下から真上にかけては、常に上方に向けて「重力」が働いている。足を向けた先の物質はプッチに向かって落下し、頭上の物質はそのさらに上へと落下する。
即ち、プッチが地面と垂直にまっすぐ立っていれば、頭上の物質は天に向かって落ちて行くのだ。それゆえ、プッチが何かしらの物質に乗り、あるいは物質の中に入り、それを切り離せばプッチごと宙に浮かんで空に落下していく事になる。作中では、窓枠やスペースシャトルがそれに当たる。まさに文字通り、プッチ本体をロケットとして打ち上げる発射台の能力とも言えるだろう。打ち上げられたプッチは、『C-MOON』が完全なる能力を得るために必要な「重力」の位置を見付け出し、ついにそこへ辿り着いた。


プッチ自身はあくまで「基本」「基点」「中心」であるため、どこにでも自由に立てるし歩ける。そこが地面であろうと、壁であろうと、天井であろうと。


『C-MOON』がその手で触れた・殴った物質は、硬度や形状に関係なく、「重力」の向きが逆転・反転。その結果、形が大きく歪み、裏返って破壊される。ただし、裏の裏は表というように、2回殴れば元に戻る。(裏返った際のダメージ自体は残るが。) 「裏返り」の能力を使うかどうかの切り替え・使い分けは出来ず、触れれば自動的に能力が発動してしまう。
ちなみに、触れた物質にさらなる「重力」を付加して、重くする事も出来るようだ。だが、それはあまり積極的には使わず、攻撃する時はもっぱら「裏返り」を利用する。その方が手っ取り早くダメージを与えられるからだろう。
とは言え、「裏返り」は単なる破壊行為に使うだけでなく、様々な応用も効く。例えば、床のタイルを裏返らせる事で、反り返らせて敵に飛ばして攻撃したり出来る。あるいは、倒れ込んだ際に床面を波打つように裏返らせ、その力を借りて起き上がったりも出来る。プッチ自身の肉体を自由に裏返らせる事も可能だ。この場合、プッチにダメージは一切ない。


「緑色の赤ん坊」と融合した事で生まれた『C-MOON』だが、一見すると、「永遠」「無限」の力とはまったく無関係の能力に感じられる。しかし実際は、「逆転」現象を起こすために「永遠」「無限」の力が不可欠であった。
「緑色の赤ん坊」のスタンド『グリーン・グリーン・グラス・オブ・ホーム』は、「無限」の概念を現実化する能力を持ち、そのスタンド・ヴィジョン自体も「無限小」の具現である。そして、「無限小」も「無限大」も、向かう方向こそ逆ではあっても、「限りが無い」という意味においては等しい概念である。また、物事を一方から見る事しか知らない未熟な赤ん坊・子どもは、時間や経験と共にやがて成長していく。相手の立場になって考えたり、見る視点や角度を変えたり、思考・発想を逆転させる事を学んでいく。プッチと1つになった事で、彼の中に宿る「緑色の赤ん坊」も成長。「無限小」を「無限大」に逆転させ得る事に気付き、それを実現させようとしたのだ。
そうして『C-MOON』は、「重力」を逆転させるスタンドとして発現した。「重力」という力を身に付けたのには理由があり、それは究極のスタンド『メイド・イン・ヘブン』を生み出すために必要だからである。『メイド・イン・ヘブン』とは時を加速させる能力を持ち、「時間」と「重力」は密接な関係があるのだ。全宇宙の「重力」を利用して「時間」を無限大に加速させていくためには、どうしてもスタンドと「重力」が結び付く必要があったのである。さらに、時を加速させる能力とは、DIOのスタンド『ザ・ワールド』の時を止める能力の真逆の能力と言える。能力そのものを「逆転」させるという過程もまた、どうしても同時に必要だったのである。
即ち、『C-MOON』というスタンド自体が、『メイド・イン・ヘブン』を完成させるために絶対不可欠な「重力」と「逆転」を手に入れるという準備段階に過ぎなかったのだ。


ちなみに、上記で述べた「裏返り」を無効化する方法がたった1つだけ存在する。それは「メビウスの輪」である。もしくは「メビウスの帯」とも呼ばれる図形なのだが、帯の片側を180°捻って、もう片方の端と繋ぎ合わせたものだ。この帯の表面を、一度も指を離さずに辿って行くと、いつの間にか裏面に入り、最後にはスタート地点にまで戻って来る。つまり、裏も表もない「無限の輪」なのである。
裏があるから裏返る。裏も表もなければ、裏返りようもない。空条徐倫は『C-MOON』に殴られた箇所に、『ストーン・フリー』の「糸」でこの「メビウスの輪」を作り出す事によって、「裏返り」を封じてみせたのだった。『C-MOON』が持つ「無限」の力を、同じ「無限」の概念で相殺したワケである。即ち、『ストーン・フリー』こそが『C-MOON』にとっての天敵だったのだ。「無限の輪」とは、『メイド・イン・ヘブン』の能力にも深く関わってくる概念である。「運命」の円環、「時間」の循環、「永遠回帰」する宇宙。『メイド・イン・ヘブン』発現直前に、徐倫の方が「無限の輪」を生み出すというのは、なんとも意味深で象徴的である。




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