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ここに書いているのは、スタンドの個人的な解釈に過ぎません。
原作の設定・描写をベースに、
勝手に考察・妄想しただけのものです。
正確な公式データが欲しいという方には何の役にも立ちませんので悪しからず。




クリーム / 本体: ヴァニラ・アイス
< 物質を「消滅」させる能力 >




タロットや「エジプト9栄神」などのカードの暗示は持たない。第3部に登場するスタンドとしては異例とも言える、珍しいスタンドである。
しかし、エジプトまではタロット・カードを暗示するスタンドが、エジプトではタロットの起源である「エジプト9栄神」のカードを暗示するスタンドが、DIOを守護するためにジョースター一行を襲っていた。DIOに近付くごとに、時を遡って「世界」や「生命」のルーツに近付いているかのようでもあるのだ。そして、この『クリーム』は、DIOの館という最もDIOに近い場所を守護する役目を持ったスタンドである。
タロット・カードが「精神世界の成長過程」を意味し、その起源とされる「エジプト9栄神」のカードが「物質世界の成り立ち」を意味するのだとしたら、DIOの館を守るスタンドにも何らかの重要な意味があって然るべきであろう。全てのルーツを辿った究極たる「宇宙の真理・法則」を意味しているのかもしれない。




<特徴>
@スタンドが発現した経緯は不明。


A髑髏のような顔に、死刑執行人のようなマスクを被った不吉なヴィジョンを持つ近距離パワー型スタンド
頭部や両肩には、ハートをモチーフとした独特なマークが描かれている。このマークは、本体:ヴァニラ・アイスの肩にもある。


Bスタンド自体のパワーやスピードも優れている。少なくとも、手刀で人体(本体の首)を切断できるだけの攻撃力はある。
ただし、後述する「暗黒空間」の能力を発動させている時は、能力の方にスタンドパワーが大きく割かれる事となる。その分、純粋なパワーやスピードは幾分低下してしまう。


C異常に体が柔らかいスタンド。狭く細いミゾに入り込めるほどの軟体っぷりである。この柔らかさは、能力を活用する上でも役立つ。


D作中において、ヴァニラ・アイスはDIOに生き血を捧げるため、自分の首を切断して死亡している。その直後、「吸血鬼」であるDIOの血によって生き返り、次第に肉体が「屍生人(ゾンビ)」化していった。
「吸血鬼」や「屍生人」の弱点は、太陽光と「波紋」である。よって、『クリーム』も本体同様、太陽光「波紋」が弱点となっていった。
ちなみに……、完全に「屍生人」と化したヴァニラ・アイスは、その本能的な凶暴性と吸血衝動ゆえに、生身でポルナレフを襲おうとした。ここで冷静に「暗黒空間」の能力さえ使えば、ポルナレフにも勝てたのかもしれないが、それでは己の破壊欲も食欲も満たされる事はない。皮肉な事に、彼はDIOから血を貰ったがため、DIOへの忠誠心よりも自分の欲望を優先する化け物に成り果ててしまったのである。




<能力>
物質を「消滅」させる能力



@物質を「消滅」させる能力を持つ。
――この宇宙では「運命」というものがあらかじめ決定されており、その「運命」に導かれるがまま、宇宙は誕生消滅を繰り返している。全ての「始まり」と「終わり」は「特異点」として繋がっていて、「無」から「有」は生まれ、「有」は「無」へと還るのだ。この『クリーム』は、「無」「無限」の概念を象徴する能力なのである。


A『クリーム』の口の中は、謎の「暗黒空間」「異次元」となっている。その「暗黒空間」が何なのか、どこへ繋がっているのかは、本体:ヴァニラ・アイス自身も知らないし興味もないようだが……、恐らくは彼の邪悪でドス黒い精神が顕現した亜空間なのだろう。
「暗黒空間」に飲み込まれたありとあらゆる物質(スタンドも含む)は、一瞬で粉微塵に破砕され、数瞬後には完全に「消滅」してしまう。その物質の材質や硬度、形状など無関係で、飲み込まれたモノは全て等しく「この世」から消え去るのだ。DIOに仕える欲求以外に何もない、ヴァニラ・アイスの虚無な心そのものと言える。


Bこの能力を最大限に活かす方法は、本体も『クリーム』自身すらも「暗黒空間」に飲み込んでしまう事である。「暗黒空間」はヴァニラ・アイスの精神が色濃く反映された領域であり、そのため、本体と『クリーム』自身だけは例外的に「消滅」せずにいられるのだ。
自分自身をどんどん飲み込んでいく様は、「無限」を表す「ウロボロスの蛇」を彷彿とさせるだろう。こうして自身の体全てを飲み込む事により、『クリーム』の体は裏返ったような奇妙な状態と化す。つまり、能力射程内がまるごと『クリーム』の口の中となり、それゆえ「暗黒空間」が外側に展開されるのだ。この時の「暗黒空間」は通常、目に見えない透明の直径1mほどの「球体」である。(その「球体」内部に「暗黒空間」は無限に広がっている。)
ただし、ヴァニラ・アイスが意識を集中させれば、この「球体」を「円柱」に近い形状に変化させる事も出来る。「円柱」を横に寝かせたような形で動けば、「底面」という「面」全体でターゲットを狙えるようになる。もっとも、「球体」自体の大きさはほとんど変えられず、細長〜〜〜いロープ状や薄っぺらくてだだっ広いシーツ状にするなどといった芸当は不可能。


C「球体」となった『クリーム』は、この世界の空間から完全に姿を消してしまっている。360°全方位に縦横無尽・自由自在に動き回り、「球体」に触れたあらゆる障害物を飲み込んで、ひたすら消し去っていくのみである。
移動スピードもなかなか素早い上に、匂いや音、気配、生命反応も出さない。加えて、この状態の『クリーム』は一切の攻撃が通用しない。まさに無敵なのだ。


Dヴァニラ・アイス自身が視認し得ないものは、そもそも「暗黒空間」に飲み込む事が不可能である。空気や光、重力、電磁波といったもの、あるいは、生物の死後に現れる「魂」などがそれに当たる(特に「魂」は、視認の条件が定かではない)。たとえそれらが「暗黒空間」と接しても、障害物としては知覚・認識されず、そのまま通過・透過してしまう。したがって、どれだけ「球体」が動き回ろうと空気や重力が乱れる事もなく、光が屈折・遮断される事もない。この性質のおかげで、「球体」の居場所も外界から悟られにくくなっているのだ。
余談だが、「暗黒空間」は「ブラックホール」などとは別物であり、重力や吸引力を持ってはいない。そのため、ハイスピードで移動する際、粉砕した破片や粉塵を(完全に「消滅」させる前に)「球体」からわずかに取りこぼしてしまう事が起こり得る。あまり無軌道に高速で動き回っては、その破片や粉塵が砂埃のように周囲に巻き上がってしまい、「球体」の位置を特定される恐れもあるだろう。
また……、もしかすると、彼が狂信・盲信する唯一絶対の存在であるDIOも、「暗黒空間」に飲み込む事自体が不可能になっているかもしれない。


E上記Dの性質ゆえ、「暗黒空間」内には空気も光も重力も存在しない。いくら本体:ヴァニラ・アイスは例外的に「消滅」せずにいられるとしても、そんな空間ではどっちみち、生命を維持する事など本来は不可能である。
しかし、数多のスタンドの中で『クリーム』だけが持つ特異性が、不可能を可能にした。『クリーム』というスタンドは……、『ストレングス』『ホウィール・オブ・フォーチュン』のように他の物質と同化しているワケでもなく、『イエロー・テンパランス』『20th Century BOY』のように本体が身に纏うワケでもなく、『クヌム神』『オー!ロンサム・ミー』のように本体の肉体と一体化しているワケでもない……、スタンド体内に本体を収納してしまうスタンドである。自分の魂の内に在るはずのスタンドが、自分の心の深層に広がっているはずの「精神世界」が、逆に自分自身を飲み込んでしまうという奇妙な矛盾。
この時、ヴァニラ・アイスの肉体は「物質世界」「通常空間」側よりも、彼自身の「精神世界」「暗黒空間」側のルールに寄った存在となる。その結果、『クリーム』内部にいる時の彼の存在は、半ばスタンド化するのである。「スタンド」としての性質をも併せ持つため、もはや呼吸も食事も休息も必要ない。その心が邪悪な執念を燃やし続ける限り、彼は「暗黒空間」でも存在し続ける事が出来るのだ。


F上記Eで触れた、「半スタンド化」という特異性。それは同時に、「生物」としての領域が狭まった事をも意味している。ゆえに、ヴァニラ・アイスはその恩恵を受ける反面、自分の肉体の異常や変化に気付きにくくなっているようだ。
作中においても、彼の肉体の「屍生人(ゾンビ)」化の進行スピードは、「半スタンド化」の影響によって緩やかになっており……、その事実をやっと自覚できたのは、太陽光を浴びて死ぬ直前であった。(「屍生人」化の進行スピードが通常よりも遅い理由は、「半スタンド化」だけでなく、魂が肉体に残っているうちに生き返った事も挙げられるかもしれない。)


G当然ではあるが、「球体」の状態から元の状態に戻る事も容易である。
その場合は、何も存在しない「暗黒空間」の何処からか現れ、(姿を消す時とは逆に)自身の体をどんどん吐き出していく。飲み込む時も吐き出す時も、ほんの数秒のうちに完了する。


H弱点・欠点は、「球体」となった『クリーム』は誰にも感知できないため、逆にヴァニラ・アイスの方からも外界を認識できない点である。
無論、「球体」状態での感覚や移動法は熟知しているが……、そのままでは外の様子は見えないし、自分で何を飲み込んだのかも分からない。だからこそ、状況を確認するために、時々、顔を外に出す必要があるのだ。その瞬間を狙われ、攻撃される危険も考えられるだろう。


Iあらゆる障害物を飲み込む事が逆手に取られる場合もある。
砂や水などを空中に舞い上げれば、『クリーム』の移動の軌跡がハッキリと浮かび上がってしまうのだ。いくら恐ろしい能力であっても、当たらなければ意味がない。
しかし、作中においてヴァニラ・アイスは……、まず標的の足を「消滅」させた後、蚊取り線香のような渦巻きの軌道を描きながら移動し続ける事により、これらの弱点を見事にカバーしていた。




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